KATOエンジニヤリング開発日誌

「アウトプット無きエンジニアにインプットもチャンスも無い」の精神で書いています

プロジェクトの事例研究 - ITプロジェクトの概要 -

先日、産業技術大学院大学のプロジェクトマネジメント履修証明プログラムの「事例研究」が開催されました。
SIerに携わる者としてプロジェクトが成功・失敗する要因を研究したく受講しました。

www.kato-eng.info

講義の目的

  1. ITプロジェクトの概要と特徴を知る
  2. ITプロジェクトで求められるPMのスキルを確認する
  3. プロジェクト事例研究を通じて以下について学ぶ
    • 教訓のまとめ方
    • ITプロジェクトの実態理解
    • プロジェクトマネジメントの重要性確認
    • PMBOKの実践的理解

プロジェクトの概要と特徴

ITプロジェクトの成功確率

日経コンピュータ誌によって2008年に実施された「プロジェクト実態調査」によると、ITプロジェクトの成功確率は「31.1%」と発表されている。ここでいう「成功」とは「コスト、納期、品質面の全てで当初の目標を達成したもの」としている。2017年現在もITプロジェクトの成功確率はそれほど変化が無いと言われている。ITプロジェクトの成功確率が30%程度なのは他の業界のプロジェクトと比べても圧倒的に低い数値である。
なぜITプロジェクトの成功確率(目標達成度)は未だに低いのかというと、ITプロジェクト特有の下記のような特徴がある。

  • 全体的に見て取れること
    • システムが複雑化している
      • 新規開発より回収案件が多く、複数システムとの連携が必須になっている
    • 経営環境の変化に間に合わせるために短納期化が求められている
    • システム導入と併せて業務プロセス改革が必要となっている
  • コスト面から見たこと
    • ベンダ側の立場が強くなり、コストを厳格に要求するようになった
    • 相変わらず追加作業の発生が多い(企画、設計)
  • 納期面から見たこと
    • 要件定義が長引く
      • 事業とITの関係が深くなり要件定義が難しくなっている
  • 品質面から見たこと
    • テストが不十分で移行作業に問題が発生する
    • 要件定義が不十分
    • エンドユーザへの教育が不十分

開発プロセスの概要理解

ユーザ企業とベンダ企業の関係

ITを活用するユーザ企業とベンダ企業の関係は下図のようになっている。

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ユーザ企業のIT部門は自社のIT化に向けた戦略策定やIT導入・活用のマネジメントが主な役割であり、開発そのものは外部のベンダ企業に委託することが多い。

IT導入から活用までのプロセス

ITを活用する側のユーザ企業がITを導入する際には下記のようなプロセスを踏むことになる。

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左側がシステムを導入する側のユーザ企業で、右側がシステムを開発・納入するITベンダー側となっている。

基本的にはユーザ企業側がRFP*1を提出し、開発を行うベンダ企業がRFPに対して提案活動を行なっていく。

ITプロジェクトのトラブル事例

ITプロジェクトの特徴としてユーザ側とベンダ側で利益が相反していることが挙げられる。ユーザ側はシステム開発に真面目に取り組み、コストは安く仕上げたい。一方ベンダ側は手を抜けるところは手を抜きたい、コストも適切な範囲で高くしたいといったものである。このことから次のようなトラブルが常日頃から発生している。

  • ユーザとベンダの役割分担が不明確で作業の抜け・漏れが発生
  • ユーザ現場(システムを実際に使う人たち)の要求事項を抑えられずに規模・費用・期間が見積もりより増大してしまう
  • ユーザ現場の声がシステムに反映されておらず、結果的に使われないシステムとなってしまう
  • プロジェクトマネジメント力の不足によりプロジェクトが迷走してしまう
  • システム化の目的や期待効果が不明確のままでステークホルダーの協力を得られない
  • 導入企業のトップ(経営層)の関与が低く、IT部門任せとなっている

次回予告

次回はITプロジェクトで実際に発生したトラブル事例から反省点を学び取ります。

*1:情報システム導入や業務委託を行うにあたり、発注先候補の業者に具体的な提案を依頼する文書で、必要なシステムの概要や構成要件、調達条件等が記載されている。